散骨は合法か違法かグレーゾーンか?という議論がありますが、散骨は違法ではありません!
上記は2022年に石原慎太郎さんの散骨式の映像です。
石原慎太郎氏は元都知事でしたし、息子の伸晃氏は衆議院議員、良純氏はイメージで売っているタレント(気象予報士)で、宏隆氏も何度もポストを経験している衆議院議員で、延啓氏は画家です。
散骨に違法性があるなら報道すらなかったでしょう。
石原慎太郎氏の散骨式で日本に散骨が広まりました。
結果だけ知りたい方は『散骨は違法ではありません』これだけ知っておけば大丈夫です。
こちらの記事では、散骨に係る法律と関係省庁の見解を解説していきます。
散骨は墓地、埋葬等に関する法律が軸になっている
人が亡くなると火葬は何時できるのか?火葬できる場所は?埋葬の定義とは?などが明文化されている法律が、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)で、通称ぼまい法と葬儀関係者の間で呼ばれてきた法律ですが、(以下:墓埋法)昭和23年以降改正なく守られてきた法律です。
墓埋法は昭和23年に発行された法律なので散骨についての記載はないと東京都保険医療局も見解を公開しています。気を付けたい部分は4条1項で、埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてならない。の箇所です。
墓埋法では、埋蔵は、墓地以外の区域に不可と明記がありますが、散骨は埋蔵ではなく散布なので該当しないという考え方です。
しかし、人骨と分かるものを散骨すれば事件だと思われてしまう可能性もあります。刑法190条は、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてあるものを損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処するとしています。
ただし、遺族、家族など遺骨を処分する権限(処分は法律用語)を有する者が行う散骨は遺骨遺棄罪に該当しないと解釈されています。
遺骨を現物のまま散骨するのは社会通念上の問題があるので、粉骨して(2mm以下)から散骨を行っています。ちなみに2mm以下で遺骨はパウダー状になります。
散骨は客観的に誰の目から見ても事件性ゼロでないといけないのです。
※当社で散骨を行う場合、埋葬許可証のコピーか写真などで事前に書類の確認をさせていただいております。
散骨に関するガイドライン
墓埋法の規定だけでは不十分だったので、令和2年(2020年)に厚生労働省は散骨に関するガイドラインを公表しました。
原則、焼骨を粉状にして(2mm以下)墓埋法が想定する埋蔵以外の方法で散布することを許可するとしています。
散骨を行える場所は陸上の場合あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く)、海洋の場合は海岸から一定距離以上離れた海域で行うこと。
地域住民や周辺の土地所有者、漁業関係者の利益、宗教的感情を害することのないよう配慮することとしています。
また、散骨ガイドラインでは、散骨を行った際に散骨証明書を作成し発行するように定めています。
海洋散骨が選ばれる理由は法律との兼ね合い
散骨に関するガイドラインでは、陸地で散骨を行う際は許可された場所と明記されていますが、事実上許可された場所はありません。
散骨業者や宗教法人が所有する山林で、許可を得ているなら問題はないとしています。そして海はレジャーや漁業関係者がいますので、関係者の利益を損ねない場所での散骨が求められています。
少し話は変わりますが、アメリカでは以前より散骨が行われていますが、遺骨を(無断で)土地に散骨したことで土地が売れなくなったと裁判になっています。焼骨を散布する場合は、第三者の利益や感情を十分に考える必要があるという事例です。
このように陸地では周辺住民の心理や感情もあるので土地に散骨するときは注意が必要です。
しかも、焼骨を埋めることは墓埋法に触れてしまうため、陸地での散骨の場合、遺族感情が微妙となり海洋散骨が選ばれているのです。
散骨に関する留意事項
東京都保険医療局が発表している『散骨に関する留意事項』では散骨を禁止する法律はないので、国民の意識、宗教的感情を注意深く見守っていく見解を示しています。
つまり、今のままなら見守るけど、社会問題になるようなら介入しますよというスタンスです。
- 散骨業者は適正に散骨を行うこと
- 周辺住民の感情に配慮すること
- 農産物への風評被害が出ないよう注意すること
- 土地所有者とのトラブルにならないようにすること
このように発表しています。
自宅の庭に散骨することはNG
世間で散骨が認知されるようになって、議論の的になるのは『自宅の庭に散骨しても大丈夫なの?』です。高額の墓地を購入しないで済むなら自宅の庭でもいいと考える人もいるのでしょう。これについて東京都が見解を示しました。
散骨は自然葬として海や山などで行われるものです。人骨に対する感情は人によりさまざまであり、焼骨を撒けば風で飛ばされたり、住まいのそばに骨が撒かれたということで気分を害する人がでてきます。個人が庭に散骨、または墓地を作ることは法令上認められていません。(東京都医療保険局)
アメリカで訴訟問題になっていることを承知の上での判断だろうと考えられます。
散骨時のマナー
- 散骨時は周辺住民の宗教的感情と利益に配慮する
- 散骨可能な区域を理解して環境に配慮した散骨を行う
- 散骨式に参加する場合は平服で参加する
近年、利用者が増え始めた海洋散骨ですが、まだまだ一般的とは言えません。そのため、散骨を行う方にもマナーを守っていただきたいと私たちは考えています。
海は漁業関係者やレジャーで使われることも多く、私たちの生活になくてはならないものです。冒頭の石原兄弟の散骨式で4人とも平服で参加しているのは周辺への配慮もあったと考えられます。
遺骨は土に還る成分なので環境破壊になるはずはありませんが、散骨は第三者の感情が関わってくることを理解する必要があるのです。
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